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 無様だった、けれど男だった。これぞ大人の青春エンターテイメント「ボーイズ・オン・ザ・ラン」
2006年10月17日 (火) | 編集 |
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彼は走った。

惚れた女を見送る為に。

彼は頑張った。

惚れた女の名誉の為に。

ほんの少し歯車がズレて、二人の心は大きく離れた。
そして運命は大きくズレていく。
その想いが大きくズレていく。

彼の心には彼女しか無かった。あの時も、今も。

彼女の心も彼しか無かった。あの時から、今もずっと。

この傷は、君の為についた傷。
腫れた左目は、君の為に腫れたんだ。
この頭は、俺の心そのものだ。

本当に、頑張ったんだ。






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あの日から、ずっと・・・ずっと。

君を悲しませたアイツを、倒す為に。

俺の、全てをかけて。

特訓、したんだ。
アイツの顔に、一発の拳を入れる為に。
鈴木さん直伝のサラリーマンアッパー。
利き手で名刺。相手の注意を死角を作って左アッパー。
そんな方法、きたないかもしれないけれど。

これがずっと人生から逃げてきた俺が、今できる精一杯だから。

だから。

逃げない。
今度は、逃げない。
俺は、立ってる。

自分の足でちゃんと。

だから俺は、闘う。

自信を、持て!!






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「サラリーマンアッパーだったっけ?」

え・・・

なんで、知ってる?
俺の戦法を何でお前が知ってるんだ?

それは好きな女が言っていた。

俺が闘う理由である・・・ちはるちゃんがが言っていた。

その瞬間、勝機はなくなった。
けれど俺はあきらめない。
努力した日々、この想い・・・嘘じゃないから。

嘘じゃないと、証明する為に。

そんな田西に青山は言う。





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「何もしてこなかった奴が、勝てるわけないんだよ。
 うすっぺらなんだよ、あんた」


グサリとその言葉は刺さる。
この言葉は田西にも、そしてきっと田西に共感する読者にもチクリと刺さる。

そして彼は奮起する。
最後の意地を、見せる為に。

小便を、した。

そこに見えた一筋の光明。
ここを逃すわけにはいけなかった。
この2週間とちょっと、必死に練習してきた・・・アッパー。
青山に向けて、それは放たれる。

一縷の望みをかけて。

意地の、一撃。








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気がつけば、寝ていた。

負けたのだ。
一発も当てる事が出来ずに。
俺の意地は、届かなかった。
俺の想いは、届かなかった。

無様だった。
どうしようもなく無様だった。

けれどずっと寝てるわけにはいかなかった。

男なら、立ち上がろう。

どんな結果だったとしても。
ここで立ち上がらず、走らない事こそが負けだ。

そして大好きなちはるちゃんの出発の時に・・・田西は間に合った。

そこにいたのは涙目のちはるちゃん。
涙のお別れ?
無様に負けておいて、そんな別れ方するわけにはいかないだろ?

笑って、お別れだ。

笑って・・・






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「青山さんは、ケガしてないかな」






嗚呼。



崩れた。



この瞬間、全てが崩れたよ。

この傷は、この腫れた目は、この頭は・・・


全てキミの為だったのに。

キミの口から出てきたのは、俺をこんな風にしたアイツの心配なのかい?

なぁ、

この想いはどうすればいい?
行き場を完全に無くしたこの想いを・・・俺はどうすれば・・・







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「ば、バキュームフェラできるんだって?」

それはきっと田西なりの意地だった。

想いの全てが崩れ去って残った意地が、発せさせた言葉だった。

嗚呼。
何故そんなに不器用なんだ?
そして、カッコイイよ。
この場面で、惚れた女に、そんなセリフを誰が言える?

獣姦ビデオを貸した。

精子の出てるコンドームを見られた。

堕胎のサインをした。

普通ならもう壊れてるハズの二人の関係。
けれど絆が、見えない絆が二人を繋ぎ止めた。

その絆を、バッサリとぶった斬った。

勢いよく、二度と結びつかないくらい鮮やかに。





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「いいよ、フェラチオぐらい」

傷ついた彼女の心。
その傷は、俺がつけた。
その涙は、俺が流させた。

これが俺の・・・想いだ。

想いが時間をかけて、形をかえて、
今彼女の涙と俺の涙になって流れ落ちてる。

崩れ落ちる。

そしてちはるは田西の手を引っ張った。


俺はそれを振りほどいた。


そして新幹線のドアが閉まる。





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「何それ」


彼女の最後の言葉と共に。

絶望したその顔が、最後の顔になったんだ。


・・・嗚呼。
もうすごいとしか言いようがない。
こんなにも僕らの予想の斜め上をいってくれる物語は中々ない。
ちはるちゃん株がどんどん暴落していく中、
これが現実なのかもしれないとも思ったりする。

フツーはここで「こんなに私の為に・・・きゅん」みたいな感じで、
恋心が生まれたり、フラグがわずかでも立ったりするものだ。

そんな甘いのは一切無い。

このバッサリ感というか、リアリティというか。
まさにこれぞ大人の物語、エンターテイメントなのだ。
甘い幻想は無い。
これぞ、現実。
とても痛い現実に、僕らの心がとても痛む。

田西がダブってしまって。

嗚呼空回り。
恋は、歯車が合わなくなった途端に空回る。
カラカラと、空しくその音が響くだけ。
奇跡の確率で歯車が再び重なっても、二人の気持ちは回らない。

一度ズレてしまってるから。


田西に様々なモノを残し、ちはるはこの物語から退場する。
残された田西。
逃げ続けてきた彼の、本当の意味での初めての挫折。

現実は、こんなにも重く苦しいものか。

現実を掴む為に、彼はきっと立ち上がる。

そして走り出す。




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田西ガンバレ、超ガンバレ。

無様だった、けれどアンタは男だ。紛れも無く、男だよ。


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<参考>
全男子、必読セヨ。ボーイス・オン・ザ・ラン2巻発売!!
すれ違いが重なって運命になる。悲劇の展開、「ボーイズ・オン・ザ・ラン」
青春は、まだ終わってない。「ボーイズ・オン・ザ・ラン」第1巻発売!!
天国と地獄が駆け巡る、「ボーイズ・オン・ザ・ラン」
守れるか、本気になれるもの。衝撃の展開、「ボーイズ・オン・ザ・ラン」
【花沢健吾特集・後編】遅咲きの青春を駆け抜けろ!「ボーイズ・オン・ザ・ラン」
【花沢健吾特集・前編】ルサンチマンをもう一度読み解く!
その世界は現実よりも現実なのだ「ルサンチマン」 花沢 健吾

<オススメ>
花沢健吾インタビューその1 非モテよ立ち上がれ!『ボーイズ・オン・ザ・ラン』

個人的にこのインタビュー記事は花沢健吾作品を読む人は必須だと思います。
設定裏話や今後の展開ついても語ってくれており、ヤバイ。
俺もいつか尊敬する先生と一度話してみたいものです。

というわけで久々の「ボーイズ・オン・ザ・ラン」の特集でした。
ちはる編(?)も今回でおそらく一区切りかなと思い。
やはり熱くなるマンガです。
物語を読ませるという意味で、花沢健吾先生はやはり一流だと思うんですよね。
気がつけばどっぷりハマってる。
何が飛び出すか分からないそのハラハラ感は、是非物語のお手本にしてほしいくらいです。

ファンタジーでも別次元の話でもない、
隣の日常をここまで魅力的に描くこの作品に、俺はやっぱり惚れてます。

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コメント
この記事へのコメント
『無様だった、けれどアンタは男だ。紛れも無く、男だよ。』

この一言以外になんて書けばいい?

とにかく読もう。
読んで田西の生き様に何かしらの感慨が生まれれば
それが本物のエンターテイメントだ。

こんな不条理に満ちた作品でも、意外とそれがリアルだったりする。
だから注さんは田西に思いっきり共感した。
2006/10/17(火) 23:50:53 | URL | 注さん #-[ 編集]
立ち読みで泣きそうになって、この記事読んでまた目潤んでしまった。

絵空事の悲しみじゃなくて、抗いようもなく「今、ここにある悲しみ」。

いちいち胸に刺さる。いちいち胸が痛い。

だからこそ、この作品が好きなんだと思う。
2006/10/18(水) 00:58:58 | URL | ぶんきち #-[ 編集]
痛いね。突き刺さったね。今号のボーイズ・オン・ザ・ラン。
この面白さ、ドラマ化するんじゃね。やめてほしいけど。
2006/10/18(水) 01:24:33 | URL | ゆずのり #-[ 編集]
この痛さはなんだろうね。
マンガ的甘えみたいなのを完膚なきまでに叩きのめすこの痛さ。
ちょっとお腹痛くなるくらいいごごち悪いこの感じ。
ルサンチマンの最後とかもそうだったと思うんだけど、
なんでこんな作品をかけるのかわかんない。
2006/10/18(水) 05:11:21 | URL | #-[ 編集]
全然話題にしないからこの漫画見限ったのかと思ってた。
私はとっくに見限った。
2006/10/18(水) 16:35:09 | URL |    #-[ 編集]
成長してないと思うんですけど。
本当に男なら最後まで何も言わないはず。
2006/10/18(水) 18:19:10 | URL |   #-[ 編集]
がきだなあ あのセリフのかっこよさがわかんないなんて あれで黙ってさよならなんてうんこぷーのへにゃちんだよ
2006/10/18(水) 19:09:53 | URL | #-[ 編集]
現実には、キレイな恋愛なんてまずないんだよね。
別れ際ってのは特に。
それが書けるのはすごいことだ。
2006/10/18(水) 19:39:04 | URL | #-[ 編集]
恋愛ってのは基本的に、女性中心。
男性側からは説明が付かないことが多いので、不条理に見える。
それにしても「青山さんは、ケガしてないかな」 はキツイな。
なにせ、ちはる側からは、全てわかってるはずなのだから。
いくら、本心を知りたいからといっても、これは手厳しいセリフだ。
言われたほうは、心を砕かれた思いをするだろう。
それにしても、女性にとって、ここまで思い通りに踊ってくれる男性は、とても貴重。これを手放すのは惜しい・・・。ほんとうにもったいない。
しかし、まぁあれだ。
手放したくないなら、もうちょっとやさしくしなきゃ
男に逃げられちまうってことだなぁ。
2006/10/18(水) 21:52:21 | URL | ねこ #-[ 編集]
お久しぶりです。
今週のボーイズは凄かったですね…かの名作「5年生」を
彷彿とさせるような強烈な鬱パワーを作品から感じました。
田西は本当によくぞ言ってくれた!あれは読んでて鳥肌立ちましたよ。
あそこで何も言わずに立ち去るとか「いつまでも幸せに」とか心にも無い事
言って最後まで自分の本心から逃げるようなヘタレ展開にせずに、敢えて
生の感情をとことんぶつけ合わせたのは大英断だったと思います。
(人間的成長と男としての成長を混同している感性鈍すぎな作家には
絶対にできない仕事でしょうね。この作者凄すぎです。)
2006/10/19(木) 05:27:34 | URL | ジンガ #.IoDzD1M[ 編集]
検索からお邪魔しました。
ボーイズ・・好きな人たくさんいるんで嬉しいです。
自分も大好きな作品なので。

今号のは、ほんとにガツンときましたね。

ホント、やばすぎです!
2006/10/19(木) 14:02:28 | URL | ugajin #-[ 編集]
こっちのタイトルをルサンチマンにしたほうが合ったんじゃないかと思ったり。
この漫画、漫画として、というか人事として読めない。

セリフやら展開が今時珍しいぐらい深く練られてて、やっぱりこの人は才能あふれた人なんだろうな。
2006/10/19(木) 15:24:24 | URL | ううう #-[ 編集]
熱く語ってる割にはアフィ貼り付けまくりなのは頂けないなあ。
醒めちまう
2006/10/20(金) 15:31:08 | URL | #-[ 編集]
新章突入でまたボクサーの吉良さんが出てきたと思ったら、
ヤンマガの赤灯の方でも妖しい街へ…
ちょんの間コラボってどうなんだ!?(笑)

ここしか言えそうなとこがないのでツッコミ吐かさせていただきました^^
2006/10/28(土) 05:36:33 | URL | オロロン草 #2p4HmguE[ 編集]
気持ち悪いまんがだと思うけど…
2006/11/07(火) 15:06:13 | URL | なこ #-[ 編集]
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