2006年07月26日 (水) | 編集 |

透明人間になれたらいいなぁ。
そう思った事、ありますか?
俺はあります。
きっと色んな事が出来るだろうなぁっていう希望がそこにはあって。
透明になるという事は、自分が見えなくなるという事。
他人から、自分が見えなくなるということ。
自分さえも、自分が見えなくなるということ。
自分がそこに存在しているかという事が・・・分からなくなるという事。
それが透明人間。
そんな透明人間に・・・一生なれと言われたらどうしますか?
誰も自分に気付いてくれない。
誰も自分の顔を見てくれない。
「トランスルーセント〜彼女は半透明〜」
この物語はそんな「透明病」に悩まされる人々を切なく描きあげます。
■【ストーリー】

「あたしが全部透明になっても、あたしの顔、忘れないでね」
原因不明の透明病。
その治療方法は全く解明されていない。
ただし「透明であること」以外は健康面では異常はない。
珍しいけど世間では普通に知れ渡っている病気。
いきなり完全に透明になってしまう場合もあるし、
少しずつ身体の一部分が半透明・透明になっていき、身体全体に拡がっていくという。
主人公・白山しずかはそんな透明病に悩まされている高校1年生だった。
そんな彼女が目指す道は・・・「演劇」。
自分が見えなくなる透明病にかかってるからこそ、
自分を見てくれる演劇の舞台に立とうと、彼女は努力し続ける。
しかし、「透明病」はそんな彼女をあざ笑うかのように進行を続ける。
完全に透明になってしまったしずか。
全てに・・・絶望する。
「もう世界中の誰の目にも、あたしが映らないの。誰にもあたしが見えないの」
もう誰にも見てもらえない。
太陽さえも、私を無視する。
私の影は・・・どこにも存在しない。

「あたし、ここにいるのよ。見える?これでも。ねぇ、見えるの?」
その身にまとう服を脱いだ彼女は・・・完全に透明だった。
そこに確かに存在しているハズなのに。
どこにも、見えない。
けれど、そんな彼女の事が見えるという男の子がいる。
唯見マモル。
純粋な心を持つ彼は、しずかの事を好奇の目で見る事はなかった。
しずかの側にいたい。
そう、強く思ってくれる彼は透明になったしずかを抱きしめる。

「―――目を閉じたら、見えるよ。白山の顔見えるもん、ハッキリと」
目に見えるものだけじゃない。
その心には、その顔が・・・笑顔がしっかりと焼きついているんだ。
それは目を閉じれば、ハッキリと見える。
忘れるわけないさ。
例えもう見えなくても、忘れない。
大好きな人の、顔を。

そして彼女の身体が、ぼんやりと・・・浮かんできたんだ。
■【透明の苦しさ。透明の幸せ】
普通に生きていても人生は悩みの連続です。
けれど主人公である白山しずかは「透明病」という病気と共に人生を歩んでいっています。
透明だから、自分のやりたい事も我慢する。
透明だから、自分の未来なんてない。
そんな彼女の苦悩が、読者の心にしっかりと響いてきます。
一つ一つのエピソードの丁寧さが非常に好感が持てるんですよね。
「ときどき自分でもわからなくなるの。本当にあたしはここにいるんだろうかって…」
他人からも、自分からも見えない。
けれど確かにある自分の心。
叫びたい。
私はここにいるって、叫びたい。
自分を確かめてほしい。
そんな想いに駆られたしずかは、マモルに決死の御願いをする。

「唯見くん…あたしがここにいること、たしかめて。あたしにさわって……」
せつねー!
触れれば確かに感触がある。
ただ、見えないだけ。
そう、見えないだけなんだ。
彼女は完全に見えないわけじゃない。
見えなくなる時もあるけれど、基本は半透明。
もちろん完全に見える時もあるけれど。
そんな彼女を好奇の目で見る人達が沢山いる。
そんな時、側にいるマモルが彼女にかけてあげる言葉。

「きれいだろ」
それは彼女だけの特権だった。
他の誰も持ってない、彼女だけの・・・
透明病が彼女にくれた幸せ。
それは唯見くんという存在に出会えたこと。
きっとそれは何ものにも替えがたいものだから。
■【しずかを支える人たち】
この物語には「悪」はいない。
しずかを陥れようとする奴らとか、変な考えで近づくような奴とか・・・
そんなのは一切なく、描かれるのは彼女と、その周りの人達の日常。
その中にある温かい気持ち。そして葛藤。
彼女には支えてくれる人達がいる。

しずかが通う高校の生徒会長でもある大河内さん
彼女は目立つ性分の自分が嫌だった。
もう注目されたくない。だから透明に憧れた。
そんな理由で大河内さんは透明病であるしずかと関わる。
そこから、二人の関係が始まった。
しずかの無二の親友となる大河内さん。
強烈なキャラクター性を持つ彼女ですが、
唯見とは違った側面でしずかを支える事となり、
そして彼女は一番読者が共感しやすいキャラクターなのかもしれません。

「あたしがしずかちゃんじゃなくて、よかった、って、思っちゃった……」
彼女が抱く葛藤。
それはきっと一番読者が抱くであろう感情に近い。
純粋すぎる唯見マモルと違って、彼女はとても人間らしさに溢れている。
透明病である友達とどう付き合っていったらいいか。
それは普通の付き合い方とはやはり違う。
けどその考え自体、間違ってるんじゃないか?
・・・そんな葛藤が、彼女を襲う。
大事なのは、彼女が一番大事な友達だっていうこと。
それに気付いた彼女は、自分の気持ちをちゃんとぶつける。
それは透明病なんて関係ない。
しずかと、大河内さん。
二人の間に確かにある絆。友達という絆。
一人の親友として付き合っていく。
そんな大河内さんの気持ちを受け止めるしずか。

「あたしは…だって。ずっと友達でいたいよ……だめ…、かなぁ」
二人の少女が織り成す温かい友情。
それはとても透き通るような・・・心と心が描かれています。
僕らの心にじーんと、染み渡ります。その温かさが本当にとても温かくて。
■【透明だから、触れてほしい】
完全に透明になってしまっても、自分を感じてもらう事は出来る。
それは触れてもらうこと。
消えたわけじゃない。確かにそこに存在しているのだから。
手を伸ばせば、私はここにいるんだよ。
だから、触れてほしいんだ。

「触れられる人の気持ちはわからない。
けど、『触れられたい』って思う気持ちなら、わかるんだけどなぁ……」
大好きな人に触れられるのはとても気持ちがいいこと。
だって感じてくれるから。
確かに自分がいるって事を、貴方が感じてくれてるから。
その気持ちが、心に染み込んでくるから。
肌の中をかけめぐって、溶けていくから。
だから・・・

「触られるってこんな気持ち」

「触られたい。もっともっと―――」
大好きな唯見くんに。
私を感じてほしい。
私も唯見くんを感じたい。
誰もが抱くその感情。
透明だからこそ、より一層憧れるのかもしれません。
そんな透き通った気持ちが、見ていて心地よいのです。
■【見えないからこそ、見えるものがある】
もし主人公が女の子じゃなくて男だったら?
こんなにも心温まる話じゃなかったかもしれない。
純情な女の子だからこそ、心の内面をしっかり描ける作品になったのかも。

「あたしの気持ちも、たしかにここにあるのに」
気持ちは目に見えない。
人が何をどう考えてるかなんて、本当のところは誰にも分からない。
表情だったり、仕草だったり。
そんなんで判断したりする。
けどそれで全部判断できるわけじゃない。
心は、目に見えないんだ。
大切なことは、目に見えないんだ。
だから見えるものだけで判断しちゃダメなんだ。
見えないモノを見て判断しなくちゃダメなんだ。
目をとじて浮かんでくるのは何だろう。
大好きな人の笑顔?
嬉しそうな顔?
一度でも見た事があるなら忘れたらダメなんだ。
心にしまったそれを、引き出して。

いつでも彼女に会える。彼女が見える。
最後にこの言葉を書いて締めくくりたいと思います。
「わたしたちは見えるものにではなく―――見えないものに目を注ぎます。
見えるものは過ぎ去りますが―――見えないものは永遠に存続するからです。」
本当に心温まる物語、「トランスルーセント」。オススメです。
-------------------------------------------------------------------
<参考>
→限りなく透明に近い彼女「トランスルーセント 彼女は半透明」
→彼氏彼女は透けルトン ――岡本一広『トランスルーセント 彼女は半透明』
個人的には映画化してほしいなぁと思ってる作品です。実写で。
今のCG技術だったら何でもイケるでしょ。無理かなぁ?半透明感を出すのが難しいかな。
もし可能であれば是非作ってほしいですね。
人を感動させる何かが、この「トランスルーセント」にはあります。
人は透明に憧れがあるからこそ、それに大きな感動を感じるのかもしれません。
-------------------------------------------------------------------
トランスルーセント 1巻―彼女は半透明 (1)
posted with amazlet on 06.07.25
岡本 一広
メディアファクトリー (2005/06)
売り上げランキング: 6,043
メディアファクトリー (2005/06)
売り上げランキング: 6,043
おすすめ度の平均: 

確かな存在の証
久しぶりの掘り出し物トランスルーセント 2巻―彼女は半透明 (2)
posted with amazlet on 06.07.25
岡本 一広
メディアファクトリー (2005/08/23)
売り上げランキング: 3,531
メディアファクトリー (2005/08/23)
売り上げランキング: 3,531
トランスルーセント 3巻―彼女は半透明 (3)
posted with amazlet on 06.07.25
岡本 一広
メディアファクトリー (2005/12/22)
メディアファクトリー (2005/12/22)
トランスルーセント 4巻―彼女は半透明 (4)
posted with amazlet on 06.07.25
岡本 一広
メディアファクトリー (2006/06/23)
メディアファクトリー (2006/06/23)
特にこの4巻の表紙はオススメです。何か、綺麗。
この記事へのコメント
これ見た感想は、最終兵器彼女に似てんな〜ってとこです。
なので、サイカノを教訓にするとアニメ化にとどめたほうがいいと思う。
サイカノの実写は・・・・って感じですから
なので、サイカノを教訓にするとアニメ化にとどめたほうがいいと思う。
サイカノの実写は・・・・って感じですから
2006/07/26(水) 04:33:45 | URL | a #iEsJClpc[ 編集]
レビューを読んで読んでみたいな!と思いました。
最後の言葉は漫画の中の言葉ですか?
それともたかすぃさん自身の言葉ですか?
とってもキレイな言葉で、確かに・・・とそれだけでも心動かされました。
最後の言葉は漫画の中の言葉ですか?
それともたかすぃさん自身の言葉ですか?
とってもキレイな言葉で、確かに・・・とそれだけでも心動かされました。
レビュー感動しました。
何か良いマンガないかなぁ〜 と捜してたのですが コレだ!!!って感じでした。
レビュー読んで 本屋に行きたい衝動にかられました。
さっそく読んでみます!!
透明なら肌にファンデーションつけて
帽子かぶってサングラスかければいいのに…
と思ってはダメですか?
帽子かぶってサングラスかければいいのに…
と思ってはダメですか?
2006/07/26(水) 23:06:16 | URL | #UzUN//t6[ 編集]
来週のマガジンのあかほんはタイトルが女子高生家庭教師です!もしかしたらもしかするかもしれませんっ!?
2006/07/27(木) 00:28:17 | URL | #-[ 編集]
来週のマガジンのあかほんはタイトルが女子高生家庭教師です!もしかしたらもしかするかもしれませんっ!?
2006/07/27(木) 00:28:52 | URL | soba #-[ 編集]
はじめまして。
そういえば昔、透明人間をテーマにした映画を見た事あります。
主人公の男は顔にファウンデーション塗りたくってグラサン掛けて、
何とか普通に生きようとしていてような。
そういえば昔、透明人間をテーマにした映画を見た事あります。
主人公の男は顔にファウンデーション塗りたくってグラサン掛けて、
何とか普通に生きようとしていてような。
2006/07/27(木) 01:53:35 | URL | ぜの #x8lOpLjA[ 編集]
トランスルーセントといえば次巻予告
2006/07/27(木) 08:42:14 | URL | いちみ。 #-[ 編集]
紹介されている言葉って、元々は聖書のですよね。
作中でそう書かれているかはしりませんが、ちょっとびっくりしました。
作中でそう書かれているかはしりませんが、ちょっとびっくりしました。
2006/07/27(木) 20:49:40 | URL | 774 #jYsgXq72[ 編集]
この主人公は演劇をやるときはファンデーションつけてやってますよ。
2006/07/27(木) 21:58:10 | URL | #-[ 編集]
はじめまして
いつも楽しくROMらせていただいてます。
この漫画「すべてに射矢ガール」に似てるなって思いました。
なんとなく。
いつも楽しくROMらせていただいてます。
この漫画「すべてに射矢ガール」に似てるなって思いました。
なんとなく。
2006/07/28(金) 20:11:29 | URL | #-[ 編集]
ここの記事を読んで
とてもこのマンガが読んでみたくなって
本屋さんに無くて注文して
昨日やっと受け取って見れました
素直に泣けました
すごくよかったです
自分的にはマモルの心情や価値観も共感が持てて
しずかや周りの友人達もすごくいい!!
早く続きが見たいです
周りの人にも勧めようと思います
この本を取り上げてくれてありがとうございました
これからもよい本があったらまた紹介してください
とてもこのマンガが読んでみたくなって
本屋さんに無くて注文して
昨日やっと受け取って見れました
素直に泣けました
すごくよかったです
自分的にはマモルの心情や価値観も共感が持てて
しずかや周りの友人達もすごくいい!!
早く続きが見たいです
周りの人にも勧めようと思います
この本を取り上げてくれてありがとうございました
これからもよい本があったらまた紹介してください
2006/09/05(火) 11:47:18 | URL | #-[ 編集]
| ホーム |





















































































































