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【花沢健吾特集・前編】ルサンチマンをもう一度読み解く!
2005年10月19日 (水) | 編集 |
rusantiman4.jpg

この物語の本当の結末は、最終巻に秘められていた。

スピリッツで2004〜05年にかけて連載されていた「ルサンチマン
アンリアルと言われる世界で繰り広げられたドラマは多くの人に衝撃を与え、
当ブログでも最終回の時に大きく取り上げて特集を行った。

<参考>
その世界は現実よりも現実なのだ「ルサンチマン」 花沢 健吾

スピリッツ本誌で最終回を読み終えて、
その一月後に発売された最終巻。
その表紙を見た時、俺は感動が止まらなかった。奮えが止まらなかった。

月子が弁当屋の店員として働いてる姿―――

それはまさにこの「ルサンチマン」という物語の中で、
たくろーと月子という「二人の主人公の結末」がそこに描かれていたからだ。




05-10-19_15-01.jpg

スピリッツ本誌では二人が最後弁当屋で出会う所で物語は終了している。
その後どうなったかは全く描かれていなかった。
だからこそ、幸せそうに働く月子の姿が描かれたこの最終巻の表紙に、
大きく心を揺さぶられたのである。
※ちなみに上の画像はコミックス書き下ろしです。

「ウラBUBKA」2005年4月号にて花沢健吾先生へのインタビュー記事が掲載。
その中で花沢氏は、「ルサンチマン」のラストについて以下のように言及していた。

――――――――――――――――――――――――――――――――
>まず、キレイ事にはなって欲しくないというのがあったんですね。
>たくろーはああいう状態だけれども、
>物語としてはギリギリの所でハッピーエンドだと思ってます。
>一応、僕の中の設定としては、あの後、
>気になった月子が弁当屋にアルバイトとして入ってくるんですよ。
>長尾は一応、たくろーの入院の手続きをして、それから月子を宿す手術をやって、
>お腹が目立ち始めた頃に、たくろーも回復してきたんで、去ったのかなと。
>長尾とたくろーはそれっきりです。

――――――――――――――――――――――――――――――――

アンリアルという虚実の世界で出会った女の子と、
現実の世界でもう一度出会う。
15年という歳月が経ってしまったけれども、
それは月子を「リアル」にする為に必要な「時間」だったのだ。

初めてアンリアルで会った時、月子は15歳だった。
そして現実世界で二人が出会った時・・・月子は15歳になった。

ここで初めてたくろーは月子というリアルな存在に出会えた事になる。
本当の意味で。
自分が初めて、本気で、好きになった存在。




05-10-19_15-24.jpg

「俺の人生30年分なより、月子ちゃんとの2か月が、ずっとずっと重いんだ!!

ルサンチマン屈指の名シーン。
たくろーの、月子に対する想いが最高潮に描かれている。
灰色の人生に、色をつけてくれた・・・そんな存在。
自分の全てを投げうってでも、大事にしたい。

その想いは、仮想なんかじゃなく、現実。

・・・想いに仮想も現実も無いから。

それが分かってるからこそ、たくろーの想いが胸に響き、
そしてこの結末に涙にするのだと思う。


【最終巻での加筆について】
さて最終巻である4巻では上で紹介した最終話以外にも、
もう一つ加筆されてるシーンがある。


◆長尾さんの行動の理由
長尾さんとたくろーが始めてちゅーをする前・・・
そのきっかけとなった長尾さんの上に降りかかる荷物をたくろーがかばった時。



05-10-19_16-20.jpg

長尾さんに脳裏に浮かんだのが月子の顔だった。
初めてアンリアルの世界に行き、
学校の屋上で見た・・・たくろーの想い人・月子の姿。

現実の女として、仮想現実の女に負けてる事が悔しかった。

そんな想いがきっとあったのかもしれない。
この描写が描かれた事によって、
何故長尾さんがたくろーにキスをしたのか?その時の微妙な心理が読み取れる。


◆コミックスカバーを外した時に分かるドラマ
そして圧巻はやはりコミックスカバーを外した時のイラストだろう。
ここでは紹介はしないが、
俺は偶然カバーイラストを取ってそこにあったイラストに愕然とした。
そこには最終話で描かれなかった事実が、そこにあったから。
そして裏表紙・・・ここに、名サブキャラの最後の姿が、あった。

1巻から全てコミックスカバーを外すと分かるが、



05-10-19_16-30.jpg

1巻で初めて月子という存在が「仮想現実」の中で生まれた。
けれどそれは「仮想」であり、「記号」の集合体に過ぎなかったのである。
それは2巻でも、3巻でも変わらない。
4巻のコミックスカバーを開けて初めて、
月子が「記号」から「人間」へと生まれ変わったのだ・・・
と実感する事が出来る。
非常に細かい作者の想いに、感動を越してまさに驚愕と言うしか無い。

コミックスを持ってる人は是非1巻から順番に、そのカバーを開けてみてほしい。


【花沢先生へのインタビューを読み解く!】
さて引き続き花沢先生へのインタビュー記事を読み解いていこう。


◆ルサンチマンが出来たきっかけ!?
自分自身の「ルサンチマン」(支配層や強者への憎悪やねたみなどを指す哲学用語)
をテーマに描いたと言うこの作品。その根源になるのは・・・?

――――――――――――――――――――――――――――――――
>・・・・・・とにかく昔からモテなかったんですよ。
>だから、近未来のギャグゲーを徹底的に考えて、
>こういう条件ならば男はみんな現実の女を捨ててこっちにいくだろうという、
>そこを描いてみたいというのがありまして、
>「女なんか、ざまーみろ!」という・・・
>そういう暗いジメジメしたものがあったんですね(笑)

――――――――――――――――――――――――――――――――

まさに「ルサンチマン」!
作者である花沢先生自身の気持ちが大きく表れた作品という事なんでしょうね。




05-10-19_15-49.jpg

屋上でセーラー服にバックプレイも思うがまま!
・・・そりゃ惹かれますね(ぇ)

沢山の女の子を囲んだり、その子たちが最初から好意を持ってたり・・・
まさにギャルゲーの世界ですが、
それが現実の感覚となって味わえる・・・
これこそ理想の仮想現実と言えるのでしょう。


◆ホントは5巻まで続く予定だった!?
実は編集部から「もう少し続けてもいいよ」と言われたらしいが、
花沢先生はあえて断って4巻で終わらせたという。その真相とは・・・?

――――――――――――――――――――――――――――――――
>その時点では逆に5巻分まで行くと話にスキマが空きすぎちゃうかな、
>と思ったんですよ。だから4巻分で終わらせてもらいました。
>ただ、その時にはそう思ったんですけど、
>実際に4巻分を描き始めたらやっぱり要素が詰まっちゃって・・・・・・
>困ったなぁって(苦笑)

――――――――――――――――――――――――――――――――

花沢先生の構想的には4巻でちょうど収まるぐらいだったんですねー
けどもっともっと見たかったですね。
5巻まで続けばもっと月子とたくろーの繋がりみたいな部分を描く予定だったらしいです。
確かにエッチがメインになってましたもんね、最後w

また月子の横にいるモブさん。
彼はもっともっと活躍する予定だったという。
ページの都合で描けなかったが、
最後の戦いやその他でモブさんの戦いが見れるハズだった・・・!?



05-10-19_16-00.jpg

この華麗な戦いっぷり!?

それはまたきっと花沢先生の作品の中で見れるでしょう!?(多分?)


◆花沢先生が描くマンガについて
たくろーと同じ印刷工場で働いていたという花沢先生。
「ルサンチマン」を含め、現在連載中の「ボーイズ〜」でも貫かれている?
主人公に対する想いを語ってくれた。

――――――――――――――――――――――――――――――――
>とにかく、僕がカッコイイ人の漫画を描いたらそれはウソになるし、
>なによりもウソには読者がついてきませんから。
>僕が劇的に変わらない限りはやっぱり、
>格好悪いもの、負け犬がもがくような話になるんじゃないでしょうか。

――――――――――――――――――――――――――――――――

自分自身がもがき苦しんでいたからこそ、
その気持ちをリアルに誌面に描く事が出来る。
そんな主人公たちに、我々読者は大きく共感していくのだろう。

人は誰もがもがき苦しみながら生きてっているのだから。

恋愛や、仕事や、人間関係・・・
色々苦しみながらも、選択していく。
それが間違ってるのか、正しいのか。
その答えが何年経っても分からない事だってある。




05-10-19_16-08.jpg
「ごめんなさい!!!」

けれどその時選んだ答えがあったからこそ、今があり、未来があって。
たくろーはこの時に月子を選んだ。
それが15年後に・・・もう一度月子と出会うという結末に繋がっていったのだと思う。

あがき、もがき、苦しむ姿。

それは次の作品の主人公にも、確かに受け継がれていた。
そんな花沢スピリットが炸裂している、




05-10-19_16-52.jpg

「ボーイズ・オン・ザ・ラン」

その世界はまだ始まったばかり・花沢健吾ワールド
後編ではこの作品で更に深まるその世界に、触れて行きます。

-------------------------------------------------------------------
<参考>
その世界は現実よりも現実なのだ「ルサンチマン」 花沢 健吾
「ルサンチマン 4」 花沢健吾(小林Scrap Bookさん)
わしにも『ルサンチマン』を語らせろや(これ、今日読んだやつさん)

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この記事に対するコメント
やられましたね〜
>そこには最終話で描かれなかった事実が、そこにあったから。
言われるとおり見てみたら予想はしていたのですが、納得と言うか、少なからずそうあって欲しいイラストでしたね。
ほんと、この1点のイラストに全てがと思うと恥ずかしながら涙が出てきました。

【2005/10/19 22:02】 URL | さかちん #jz9339gE [ 編集]

いやはや
もー一気に読みました!この記事と以前の記事!知らんかった事や、ミナサンのアツい考察楽しかったですww

連載中の漫画もこれから楽しみですねー。
また来まーす♪


【2005/10/20 04:11】 URL | muu #- [ 編集]

熱いですね〜
『ルサンチマン』ホントに熱いです。
うちも感想まとめてアップしたいんですが、読み返せば読み返すほど色々気づいてしまう…
単行本は今は友達に貸してるんですが。

『ボーイズ・オン・ザ・ラン』も来月1巻が出るみたいなんで、そちらも期待してます

【2005/10/20 06:53】 URL | 猫造@ #- [ 編集]

ルサンチマンは永遠の名作なレス
今度はたくろーと月子ではない、「ルサンチマン」の世界が読みたいです。

>さかちんさん
やはり4巻の表紙は何度見ても感慨深いですねぇ。
あれは反則だなーと思いましたよ。
コミックス派の人は最後まで読んで初めて表紙の意味に気付くわけで・・・

ルサンチマンはとにかく奥が深いマンガで、
それを読み解いていくのが良かったですね〜
涙、出ます、ホント。


>muuさん
おおー前回の記事はかなりの長文だったので読むの大変だったと思います。
しかもコメント欄まで・・・お疲れさんです!
色んな方のご意見が聞けるのはやはりブログならではというか嬉しいですねぇ。

「ボーイズ〜」はルサンチマンとは全く違う展開ですが、
花沢節が炸裂してます。今一番楽しみな作品ですねー


>猫造@さん
ホント熱かったですねぇ〜
ルサンチマンは読めば読むほど奥が深くて楽しいです。
「生まれてきて、ありがとう」
それはすべての人が言われたい言葉ですよね。

単行本、友達のトコ行ったら戻ってこないかもですよw面白すぎて。

「ボーイズ〜」の1巻は11月の末ですね。
絶対買いますね、これは・・・

【2005/11/02 02:35】 URL | たかすぃ #Z2iUbf5Y [ 編集]


おしっこシーンがあるマンガがしりたいなあ

【2006/09/14 22:32】 URL | aho #qNXjQhIg [ 編集]


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仮想世界を題材にした漫画「ルサンチマン」

セカンドライフという仮想世界をチラチラとやっていることもあり、同じく仮想世界を題材としているマンガ「ルサンチマン」を読みました。 すげー良かった。感動した。こんな名作もあったんだな。 登場人物がどれも味があって素敵で... 廃人趣向【2007/02/11 23:16】

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