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「ネムルバカ」から感じる、キャンパス・ライフ・モラトリアム。
2008年03月25日 (火) | 編集 |
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どの時代に戻りたいとか聞かれたら、やっぱり俺は「大学時代」と言うかもしれない。

あんなにも自由に生きれた時間はあの時だけだった。
“大学生”という免罪符と共に、有り余る時間を好きなように使えた。
もちろんそれは人それぞれの大学に対してのスタンスによって大きく変わるのだろうけれども、
多かれ少なかれ、この“自由”さこそが大学生の特権だった。

社会に出る前の「モラトリアム」のようなもの。

まさに多くの人が、その先に待ち構える社会人生活を前に、
縛られる人生へ向けての執行猶予期間。
それが身に染みて分かってたからこそ、僕らは“自由”を謳歌する事になる。
そこには本当にどんな道でも用意されていた。
新たな道を探す事も、新たな道を作る事さえ出来た。

無限の可能性と、将来への不安が入り混じる奇妙なパラドックス。

自分の限界がどこにあるかを初めて知り、
それでもなおもがき続ける奴がいる。
本当に色んな人がいて、色んな思想があって。
正にそこは玉石混交の世界だったんだ。

この「ネムルバカ」はそんな大学生の空気をこれでもかと鮮やかに描ききっていた。



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この気軽さ、このユルさ・・・この空気はまさに「大学生」ならではだと思うんだ。

日常の平凡なイチ風景が、びっくりするぐらい魅力的に感じてしまうという現象。
それは石黒先生の代表作でもある、「それでも町を廻っている」を初めて見た時に感じた衝撃だった。
この人は本当に些細な幸せを描くのが上手すぎると思う。

「それ町」が中学生や小学生の視点がメインなのに対し、
この作品の視点は大学生からの視点がメイン。
同じ日常の魅力的な切り取りでも、その雰囲気が全く違う。
これはもう石黒先生お見事ですとしか言いようがない。

年を重ねる毎に、見える世界は違ってくる。

自分の中での様々な経験や感情のフィルタを通して見る世界は、確かに昔とは違うのだ。
そのフィルタを、この作品ではしっかりと大学生用に交換して描かれてる。
けれど根底にあるのは、石黒先生の独創的なテンポで描かれる人間的な面白さ。
大学生って、一番自分と向き合える時間が多いから、
その辺りの人間味が一番出る時期でもあって。それを石黒先生が描くんだから。




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面白くないわけがない。

沢山の人と関わりながら過ごす、大学時代という時間。
人生において、後から振り返った時にきっと「宝物」のように感じるかもしれないその時間を、
この「ネムルバカ」は鮮やかに描き出したと思うのだ。


┼───────────────────────────────┼
【きっと誰もがハマる「駄サイクル」】
┼───────────────────────────────┼

「ぬるま湯」は気持ちいい。

気持ち良すぎて、ずっと入っていたくなる。
居心地の良いところに甘えたくなる。
そこに溶け込んで動けなくなる。

きっと誰でも経験があるその状態を、この作品が明確な言葉で指摘する。




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ぐるぐる廻り続けるだけで、一歩も前進しない駄目なサイクルのこと」

それを彼女は、「駄サイクル」と呼ぶ。

輪の中で需要と供給が成立してしまい、
そこで全て完結してしまう。
その輪の外から決して出ようとはせず、その居心地の良い空間で満足してしまうのだ。

そして輪の中にいる事すらも、気付く事が出来ない時もある。

それは色んな形で存在するから。
今の自分がいる環境や、やってる事も・・・もしかしたら「駄サイクル」の中にいるのかもしれない。
ただそれに気付いたり、抜け出そうと努力してる人が・・・先へ進んでいく。

人はそれを「もがく」「足掻く」と呼ぶ。

苦しいかもしれない、
辛いかもしれない。
けれど“それ”をやった人が、何かを掴む。
掴んだ先に何があるのかも見えないけれど、何かを掴む。

そんな見えない未来に、若者は振り回される。

思い返せば、大学時代は最後の足掻きなのかもしれない。
幼い頃から夢見ていた将来への、最後の足掻き。
足掻き続けるのを止めた時、描いていた夢への道は潰える。
けれどそれもまた自分の決断であり、別の道へと続く方向転換。

そんな「足掻く者」「足掻くのを止めた者」「どうしたらいいかわからない者」・・・
色んな人達が混在する大学生活だからこそ、
一番人間的に映る時代に感じてしまうのだろうか。

大人でもあり、子供でもある彼らだからこそ。

まぶしくもあり、微笑ましくもあり、目を背けたくなるのかもしれない。

自分が過ごしてきたあの時代の、あの時を思い出してしまうから。

「ネムルバカ」が描くのは、そんな群像劇。
駄サイクルの中でもがくその姿が、何でこんなにも魅力的に見えるのか。
もしかしたら駄サイクルの中に自分がいるからこそ、そう思えてしまうのかもしれないなぁ。


┼───────────────────────────────┼
【僕らが憧れる「絆」】
┼───────────────────────────────┼

この作品の主人公は二人。
大学の女子寮で同室である「先輩」と「後輩」だ。
一人は夢へ向かってバンド活動を続ける、足掻く者。
一人は日々バイトをしながら漫然と過ごす、足掻かない者。

そんな二人は、まるで身を寄せ合うかのように日々を過ごす。

二人が向かう未来の先は全く違うのだけれど、
今ここで、二人は一緒に暮らしている。
お互いが、お互いを支えて生きている。




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けど、それはいつか終わる時間。

一緒の布団で、寒くてくっついて寝たあの時間。
「お風呂入ってない先輩とはくっつけません!」とか言ってみたら、
昔の恥ずかしい思い出を掘り返されて、やっぱりくっついて寝たあの夜。

そんな何気ない絆が、ホロリと染みます。

石黒先生が描く家族の絆もまた魅力的だったんですが、
他人同士が繋がるこの絆もまたすんごい素敵なわけで。
仲の良い女の子二人に、妙な憧れを持ってしまうんですよねぇ。
憧れ・・・?うん、憧れです。

この作品の終盤で、先輩の世界が歪む出来事が起こるんですが、
その歪んだ世界が再び形を取り戻すきっかけになったのはこの絆なのでした。
二人が過ごした時間は確かにそこにあって。
それがきっと何かに迷った時の拠り所になるその事実に、どこか救われたりするのです。





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甘っちょろい夢と、突きつけられる現実の狭間にある絆。

この「ネムルバカ」の表紙カバーをめくった時、
何かあったかいモノが心に流れ込んだ・・・・そんな気がしました。

石黒先生が新たに魅せてくれた新境地。
「それ町」とは全く違う魅力を僕らに突きつけてくれました。
大学時代を駆け抜けた人にこそ、こいつを是非読んでほしい傑作なのです。オススメ。


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<参考>
やりたいことはあるか?同室の女子大生2人の青春漫画 - ネムルバカ
自分の安地を作っていないか?「ネムルバカ」にみる駄サイクルの恐怖。
ネムルバカ 全ての8割に属する人へ

しっかし、“大学生活を描いた作品”とか言いつつも
大学風景は一回も出なかったなこの作品。
いや、けど大学生の主戦場ってそこじゃないですからね。(勿論全員に言ってるわけじゃないですよ)
そういう意味ではこの作品の描き方は正しかったのかもしれないなぁとか思ったり。

あと入巣は途中名前が判明するまで完全に歩鳥の大学生版だと思ってました。(そういう描写がある)
ルカ先輩は紺先輩。
二人は大学でも仲が良いんだなーって思ってたり。
まあ実際違うわけなんですが、パラレルワールド的なものなのかなって。

さて最近発売された作品の中で、また別角度から大学生活を描いたのがこれかなー



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やまむらはじめ先生の「夢のアトサキ

やまむら先生といえば「神様ドォルズ」が最近の代表作でもあるわけなんですが、
個人的にはこっちの作品の方が好きだったりします。
え?何故かって?





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都緒里先輩がいるからですよ!

いや別にロリキャラだから好きってわけじゃなく
そんなロリキャラっぽいのに先輩だとか、
妙にしっかりしてたりするわりには、やっぱり甘えん坊っぽいところがあったりとか、
あと好きなのが服のセンス。
何つーかツボなんです。作中に出てきた都緒里先輩の服はほとんど好きでした。

こーゆー服を、都緒里先輩はどんな風に選んでるんだろうなぁ・・・

とか妄想し始めたからもう色々末期です。けどいいんだ好きだから・・・
何気に小悪魔的な要素があるのも見逃せません。
こういう人が恋に落ちるのがまた見たい気もします。

で、この「夢のアトサキ」は大学生活の「恋愛」部分に大きくフォーカスした作品。
まあ大体そこにフォーカスが当たるのが普通でもあるんですが、
やまむら先生が描くキャラ達は何かこう気になるんですよねぇ、もう。
ほっとけないというか。
それこそがやまむら先生の掌なのかもしれませんが・・・



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こういうのが好き!こういうのが俺は好きなんだぁあああああ!

嫉妬する。
そんな嫉妬してる姿を見て「しょうがないなぁ・・・」ってもつれ込んじゃう愛の形ね!
いい!いいよ!そういうの燃えるよね!
この「もー、しょうがないんだから」「仕方ないんだから」って言いながらも、
見せてくれる愛の深さに俺はやられるのです。ラヴ。

「神様ドォルズ」の2巻の帯にて、安彦良和氏が「夢のアトサキ」がもっと好きと言ってましたが、
やまむら先生の描くラブっぷりに悶えてしまうからなんだろうなぁと。
まあ大学生活ならではという要素は少ないものの、
普通に大学恋愛モノとして見るには大満足だったり。隠れた名作だと思いますよー

何はともあれ都緒里先輩がもっと見たいんですが・・・


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ネムルバカ (リュウコミックス)
石黒 正数
徳間書店 (2008/03/19)




夢のアトサキ (ヤングキングコミックス)
やまむら はじめ
少年画報社 (2007/11/28)


神様ドォルズ 2 (2) (サンデーGXコミックス)
やまむら はじめ
小学館 (2008/03/19)
おすすめ度の平均: 4.5
5 詩緒は清涼剤です。
4 月刊誌連載だから待たされる


おひっこし―竹易てあし漫画全集 (アフタヌーンKC)
沙村 広明
講談社 (2002/06/21)
おすすめ度の平均: 5.0
5 何度読み返しても、面白い。
5 コメディ?
5 表題作「おひっこし」について

最後に大学ラブコメ(?)という意味でこいつもオススメしておきます。



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